酒税法改正

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昨日まで酒造組合中央会の日青協(何とか青年協議会の略^^;;)
の会合で東京に行っていました。

そこで話題に出ていたのですが
今度の5月1日から酒税法が大きく変わります。
(ご存じの方も居るかと思いますが…)

清酒に関して変わったポイントは大きく2つ
①酒税額が度数に関係なく一律になった
②使用できる原料の定義が変わった
ということです。

①について、従来はある度数(15度)を基準に
1度増えると○○円増えるという
世界的に見ると混成酒(混ぜて造る酒)の税額体系だったのですが、
今後は、清酒であれば全て同じ金額になりました。

本来清酒は発酵によって造られるものであるため
発酵の具合によっては度数が多少上下する事があるはずです。
そのため果実酒(ワイン)は度数に関係なく○○円という税制でした。

ところが清酒は醸造酒であるにもかかわらず、
「度数が高ければ税金がたくさん取れる」的な考えにより
税額体系の上では混成酒や蒸留酒扱いでした。
それが、この度晴れて「醸造酒」としての名実ともに認められた事になります。


また②は大きな変化として
・原料として認められていた雑穀類が使えなくなった。
・副原料(醸造アルコール、糖類、調味料など)が
 白米の1/2(重量)しか使えなくなった。
という2点です。
雑穀は実質使っていた酒造メーカーは全国に無かったので
まったく関係は無いのですが、
副原料の使用限度が少なくなったのは影響が大きいかも知れません。

非常に恥ずかしい事なのですが、
ご存じのように清酒業界には三倍増醸酒(三増酒)というものがあります。

従来白米と同量まで副原料(いわゆる混ぜ物)が可能で
普通に純米酒を造る量に比べると3倍の酒が出来たため三増酒なのですが、
今度の新税制では計算上では1.6増酒程度、
考えに考えて(笑)入れられる限り入れても2増酒が限界となります。

…というかこんなもの当たり前です^^;;;

3倍になると言うことは本物部分:ニセモノ部分=1:2です。
割合からするとニセモノ部分のほうが多いのに
いかにも本物の顔して市場で売られるのは
真面目に酒造りをしているメーカーからすれば大迷惑です。

もっと厳しくしても良いと思いますが、
清酒(日本酒)が世界に認められるための大きな一歩です。

これから清酒(日本酒)はもっと世界に広がっていくと思います。
そのためにはもっと厳格な制度により、お客さん(消費者)が
安心かつ安全に清酒を飲むことが出来ることが必須条件だと思います。


そのためにも中央会の役員の方や自民党のセンセイ方、
所轄官庁の財務省官僚の皆さんには
もっと頑張っていただきたいと思います(笑)

コメント(3)

真面目に取り組んでるならば、副原料は最小限の「醸造アルコール」程度になるのでしょうか?「糖類、調味料」が残るのはあまりイメージが良くないですね。

その通りだと思います。

私見として、
日本酒(清酒)の原材料として使って良いのは
米、米麹、醸造アルコールまでだと思います。

「イメージが良くない」どころではなく
本来であれば「止める」べきです。


今、清酒(日本酒)が消費者から見放されています。
その証拠に酒類のなかで日本酒の占める割合は
10%を切ってしまいました。

そんな中、
わずかな光明は輸出が増えている事や、
カップなどの商品がきっかけとなり
日本酒が注目されつつあることです。

少なくとも今
日本酒業界で取り組まないといけないのは、
今の副原料(悪く言えば混ぜ物)をいかにして使うか、
と言うことではなく、
「こんな厳格なルールに則って造られている酒なんだ」
「こんなに日本の文化に根付いたお酒なんだ」
「こんな飲み方をしたら楽しいんだ」
というメッセージを発信する事ではないかと思います。

この度の税制改正を前に
糖類は使えるのか?米粉糖化液は良いのか?
などという、情けない想定問答集を作っているようでは
「業界の未来は暗い」としか言えません。

もし甘口の酒が造りたければ、
昔からの「四段掛け」「甘酒四段」
という技術があるのですから
(米や麹を使って甘口にする製法)
糖類などというものに頼るのではなく
それを使って、その事を堂々と言えば良いと思います。

大量生産時代ではなく、モノ余り時代なのだから
戦後の米不足の時代に出来た増量の技術は
業界を挙げて封印したいものです。

日本酒(清酒)の原材料として使って良いのは
米、米麹、醸造アルコールまでだと思います。

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このページは、sekiyaが2006年2月24日 13:34に書いたブログ記事です。

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