杜氏の話

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(思い出の続き)

杜氏の右となりへ座る。
今まで座っていた場所よりは暑くないが、汗が引かない。
杜氏が話し始める。
「金子です。宜しくお願いします。」改まって挨拶し始めた
私も改まって
「荒川です。宜しくお願いします」
杜氏が続ける

「わしらはもう年で耳も遠いし周りの機械もうるさいスケ声が大きくなるし小学校しか出とらんから言葉使いも汚いけど、気にしないでクンナイ。

「わしらもそう何年も酒づくりが出来ないスケ若い衆で協力して早く酒つくりを覚えてクンナイ。」

「ボケてきて失敗する前に引退したい。惜しまれるうちに引退したいスケ」

「みんな日本酒を飲まなくなったし景気も悪いが、絶対この世から日本酒がなくなるって事はないから、日本酒の造り方を覚えて損はないスケ」

「わしは持っている物すべて若い衆に教えてあげたいスケ、なんでも解らないことは聞いてクンナイ。でも他の人はあまり教えるのが上手くないスケ、他の人の仕事を良く見て、真似して覚えなさい。酒つくりの本を読みなさい。」

抜粋するとこんな感じな事を話していた。


その時は特に酒造りがやりたい訳ではなかったし、良い仕事があればすぐやめようと思っていたので軽く聞き流していたが、今思うと結構深い事を言っていた。

一通り話し終わると最後に
「頭(かしら)に仕事をもらってクンナイ」と言わたので仕込みの準備をしている頭の元へ行く。(続く)

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このページは、ginjohkoubouが2007年10月 3日 08:12に書いたブログ記事です。

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